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冬はヒートショックに要注意

冬はヒートショックに要注意

 令和5年度は、家庭内の不慮の事故で16,000人あまりの人が亡くなりました。そのうち約6,300人が浴槽での溺死・溺水です。そのほとんどが65歳以上の高齢者で、ヒートショックによる脳卒中や心筋梗塞の関与が考えられています。 若い人でも注意が必要で、食後や飲酒後の入浴はリスクが高まります。

冬に入浴事故が多発する理由

 ヒートショックの主な原因は、室内・脱衣所・浴室・浴槽内の温度差といわれています。暖房のきいた室内から冷えた脱衣所に行って衣服を脱ぎ、寒い浴室に入ると、血管が収縮して血圧が急上昇します。その状態から浴槽に入り、体が温まることによって血管が拡張し、急上昇した血圧は低下していきます。この急激な血圧の変動が脳卒中や心筋梗塞などを引き起こし、浴槽で溺れるなどして死亡するケースが多いと考えられています。
 また、食後や飲酒後は血圧が下がるため、直後に入浴するとヒートショックが起こる場合もあります。少しでも危険を減らすために、時間を空けて入浴するようにしましょう。

入浴事故のイラスト

ヒートショックを防ぐ対策

 入浴時は、脱衣所や浴室を暖めておくことに加え、熱すぎるお湯に浸かることは避けましょう。ぬるめのお湯(41℃以下)に浸かれば、副交感神経が刺激されてストレスも軽減できるため一石二鳥です。ただし、長風呂は危険ですのでお湯に浸かる時間は10分以内を目安にしましょう。他にも、浴槽から急に立ち上がってしまうとめまいや失神が起き、溺死することがあります。ゆっくりと立ち上がることを意識しましょう。
 また、意外に危険なのが起床時に布団から出るときやトイレです。冬の朝方、寝室やトイレの室温はかなり低くなっています。タイマーでエアコンを設定しておく、暖房機器を活用するなど、室内の温度を調整しておきましょう。

対策法のイラスト

ヒートショックを防ぐポイント

  • 入浴する前に脱衣所や浴室を暖めておく

  • 湯温は41℃以下、お湯に浸かる時間は10分以内

  • 浴槽から急に立ち上がらない

  • 食後すぐや飲酒後、薬を服用後の入浴は避ける


監修

滋慶医療科学大学医療科学部臨床工学科教授 岡田武夫

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